2016年1月 9日 (土)

ロールプレイの授業から学ぶもの

 昨日は今年度の大学院の授業「臨床心理面接特論」の最終回でした。

1年間(まあ正確に言うと10ヶ月間)ずっとロールプレイをやってきた授業でしたが、昨日の内容は、もともと3人1組の家族ロールを大学院生たちに作らせておいて、交代で15分間の家族面接を行っていくというもの。私もセラピスト役で加わって、15分面接を3回行いました。院生たちはセラピスト役と家族役を次々と交代でやっていくので、3時間近くやるともうヘトヘトの様子。当初はさらにもう1回ロールプレイをやる予定でしたが、変更して残りの1時間は、ゆっくりと家族ロール体験やセラピスト役体験を振り返りながら、1年間の授業も振り返って感想などを分かち合う時間にしました。院生一人ひとりの感想を聞いていても、私自身刺激を受けましたし、とても勉強になりましたね。幾つか列記してみます。
・面接相手の家族の中でセラピストにとって共感できない人(例えば、生理的に苦手な人や、価値観などが理解できない人)がいると、それを隠そうとしてもセラピストの振る舞いに現れてしまう。それを隠そうとせずに、「共感できない」=「情報不足」と考えて、もっとその人の事情を聴いていこうとすることが大事。
・この1年間「セラピストとしてコンテクストを把握することの大切さ」を学んだが、コンテクストを理解するのはやはり難しい。
・コンテクストは本を読んでもわからないもの。ロールプレイや日常生活の会話のやり取りの中で感じ、理解していくもの。
・コンテクストは 「理解(把握)する」だけでなく、「感じる」「のる」ことが大切。そのどこから始めても良い。
・臨床心理の学びとしてロールプレイは大切。それをどのように継続するか? またその大切さを実証する研究はできないか?
思い出しながら書いてますが〜あれ〜他にもあったよな〜? まあ来週末に院生からの授業レポートが提出されるから、それを読ませてもらってまた学ばせてもらおうっと!
こんな風に学生から学ばせてもらえるのは教師冥利につきますよね。

2016年1月 3日 (日)

さあ2016年が始まりました!

 あけましておめでとうございます。

2016年のスタートですね!

 このブログもすっかりご無沙汰しておりましたが、心機一転! ぼちぼちと再会することにします。
 昨年は「目標を立てない」という目標にしましたが(笑)、今年は目標というより、モットーをいくつかしっかりと立てていこうと思っています。
 まず第一弾
「語るように書き、書くように語ろう!」
昨年はご縁があって、2冊の本を出すことができました。
それらの本を執筆しながら 私はどうも 
  「語る」 > 「書く」 
という傾向があると改めて痛感した次第です。
そこで、 今年はあらためてしっかりと「書く」ことに取り組みたい、そんな気持ちから上のようなモットーを作りました。うん、語るように書いていこうっと!
 このブログもその1つですよね。
 毎日とはいきませんが、少しずつ「語るように書いて」いきたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。
 

2015年1月31日 (土)

ゼミ合宿と怒涛の研修週間 その2

   今はゼミ合宿からの帰り、やはり伊豆急行の中からこのブログ書いてます。電車の中は格好の書斎ですね(笑)。

   今回のゼミ合宿は、4年生の卒業論文の発表会も兼ねたものでした。皆緊張しながらもしっかりと発表していて、かつ内容もどれも力作ばかり。今年の4年生は例年以上に意欲的な学生ばかりでしたね。八巻ゼミのOB・OGも5名が参加してくれて楽しく充実した合宿でした。さすがに毎晩夜遅くまでの飲み会には付き合いきれなかったけど。私は温泉につかって(合宿所の近くに日帰り温泉館がある!)少しゆっくりできたかな?
   さて、怒涛の研修週間の続きを。
   1月24日(土)は友人がやっている心理センターで家族療法&ブリーフセラピーの研修を担当しました。参加者は10名足らず。センターのスタッフも参加していましたが、ほとんどの方が家族療法やブリーフセラピーにほぼ初めて触れる方が多く、急遽準備していたプログラムを変更して行いました。もともと何となく「なしなし研修でいこう」と考えてのぞんだので、変更はスムーズにできました。ただまだまだ「なしなし研修」を参加者のニーズに合わせて構成できているかと思うと、満足できるものではありませんでした。もう少し参加者のニーズを把握する方法、例えば「〜ということについて皆さんどう考えますか?」と参加者にふっていくなど、参加者をうまく巻き込みながら研修を展開する方法を、もっとたくさん考えていく必要がありそうですね。研修後は懇親会を催してくださいましたが、翌日の研修の準備のために早めにお暇させていただきました。
   さて、翌25日(日)は、やまき心理臨床オフィス主催で、吉祥寺にあるKidsという研修機関を会場にして東京大学の森俊夫先生のワークショップを行いました。私は司会進行役を担当。今回は特別なワークショップでした。それは森先生ご自身はご病気で単調万全でないにもかかわらず、研修講師を引き受けてくださったからです。森先生の体調を考えて、森先生のオフィスでもあるKidsを会場に急遽変更しました。森先生を慕ってブリーフサイコセラピー学会のベテランの先生方も急な連絡にもかかわらず、7人も駆けつけてくださいました。本当にありがたかったです。主役の森先生は、体調が万全でないにもかかわらず、午前中から会場に来ていただいて、午後は最後には2時間以上もひとりで講義してくださいました。その話は森臨床の真髄とも言える話で、ここで要約して書く力量は残念ながら私にはありません。ただ会場には出版社の方も来ておられたので、おそらく森先生のお話はあとで本になることでしょう。それはとても楽しみです。森先生は研修後の懇親会までお付き合いいただいて、とても満足・幸せそうな感じでした。私も森先生の大切なお話をできるだけじゃませずにしっかりと語っていただくことができたかと思えて、まずまず無難に司会できたことで、正直終わった後はホッとしました。
   いや〜こうやって振り返ってみると、長いようであっという間のやはり怒涛の1週間でした。1つ1つの体験・経験をあらためてかみしめていきたいですね。
 

2015年1月29日 (木)

怒涛の研修週間 その1

  今日から伊豆高原でゼミ合宿です。今はそこへ向かう伊豆急行の中。伊豆高原駅に着くまでやっとこのブログを書く時間がとれました。まずは先週のことから書いていきますね。

  先週は「怒涛の研修週間」でした。自分の学びのために1つずつ書いていきます。
まずは1月20日(火)は宮城県気仙沼市へ。昨年から続いている東北地方の自治体職員向けのメンタルヘルスセミナー講師として、気仙沼市役所職員に「職場のメンタルヘルス」のお話+グループワークを行いました。気仙沼には1月8日に一度行っていますが、2度目の訪問。お昼前に着いて、しっかりと美味しいお寿司を食べてのぞみました。実はこのセミナーはある会社からの依頼で行われていて、研修のパワーポイント資料はそこから与えられたものを使わなければいけないという制約があるのです。最初は戸惑いましたし、やりにくさを感じていたのですが、「あるやり方」に気づき、それからはまあやりやすくなりましたね。(「あるやり方」は企業秘密!?笑) グループワークと講義のバランスもこなれてきて、講師である私もゆとりを持っているせいか、参加者の皆さん楽しそうにワークをされていましたね。あとは出だしのアイスブレークをもう少し工夫するといいかなと思いました。その日は翌日の研修に備えて岩手県北上市に移動。北上の夜を楽しみました?!
  翌21日(水)は北上市役所で管理職向けのハラスメントセミナー。参加者は私と同じがそれ以上の年齢の方が約50名。以前だったらこのような状況は緊張したはずなのに、このような場に慣れたのでしょうか、緊張というよりも「この集団をどうのせようか」とワクワク感が不思議とありましたね。研修の最後の質疑応答でも1つだけ質問がありましたが、落ち着いて答えることができました。この感じでいつも研修にのぞめれば良いですね。何が良かったのかな? お昼の美味しいハンバーグのせいだけではないはず!(笑)  もう少し考えてみたいと思います。
  23日(金)はここ3年ほど関わっている北区の発達障害児のための関係機関連絡会議のスーパーバイザーのお仕事。まあ連絡会議というと、ロの字になって報告しあうという堅苦しいイメージがありますよね。そこで準備担当の方と事前に打ち合わせて、今度の会議は私がファシリテーターとなって、ワークショップ形式でやろうということになっていました。当日はしっかりと椅子だけにしてもらって、グループワークとロールプレイで2時間半。皆さん楽しそうにのりのりでワークをやっていて、途中から参加した北区の課長さんからも「いや〜良かった〜楽しかったです」と終了後に感想をいただけました。よかったよかった。このワークショップ形式(私はパワポなし資料なしの「なしなし研修」と呼んでいます)はまた北区からお呼びがかかるかもしれませんね〜。
  さらに24日と25日も続けて研修だったのですが〜その話は次の回にまわすことにしましょう。まあここまでも怒涛ですね〜
 

2015年1月17日 (土)

保護者対応の講演会

 昨日(16日)は立川市子ども未来センターで、「わかる!できる!保護者対応のコツとポイント」というタイトルで、約2時間の講演をしてきました。参加者は30名ほどで、保育士の方が2/3くらいで一番多くて、あとは小学校の教員や障害児の施設職員の方もいらっしゃいました。
 構成は、前半の1時間20分ほどで講演+実習をして、休憩をはさんで、後半の約30分間は(休憩時間に書かれた)参加者からの質問に答えるという感じ。いつもながらの悪い癖で、前半はいろいろ講義内容やワークを詰め込みすぎて、最後の方は駆け足気味になってしまいました。1つ1つのワークを(振り返りの時間も含めて)もう少しじっくりできるボリュームにすればよかったかな〜。う〜ん、これは反省材料の1つでしたね。
 もっと反省したのは、後半の質疑応答の時間。さすが現場の保育士さん方からの質問だけあって、具体的な困った保護者についての質問が次々と出てきました。私もしどろもどろになりながらも、なんとか1つ1つ答えていきましたが、限られた情報で的確にアドバイスするのはやっぱり難しい! 講演にはオフィスのスタッフのH君も途中から参加してくれていたので、(保育園でスクールカウンセラーもやっている)H君に難しい質問の時に思わずふってしまいました。そんな無茶ぶりにもかかわらず、H君しっかりと丁寧に質問に答えていましたね。さすがH君!元八巻ゼミ生だけあって「無茶ぶり」には慣れていますね!(実は、八巻ゼミは「無茶ぶりゼミ」として有名?!)
 今回この講演をやってみて、あらためて保育園での保護者対応が難しいケースが多いことを痛感しましたね〜。確かに「発達障害」という考え方が浸透してきて、その疑いがあるお子さんを保育園で預かっている場合、保育園だけでなく、専門機関で「療育」を受けた方が良いのではないかと保育士さんが思うことはあるでしょう。それをどのように親に伝えたら良いか悩むは当然でしょうね。 今回の講演で私なりには、「伝えようとする前に、まず相手の考えや事情を聞き出してみよう」「ちょっと待て、指導の前にジョイニング」なんてことを実習を通して提案したつもりでしたが、参加された皆さんにははたして役立つものだったかな〜? 実は、来週も「保護者対応」の研修講師を担当する予定なんです。今度は2時間半のミニワークショップ形式なので、今回のこれらの反省をもとにしっかりと準備していこうっと!
 ホント講演や研修は終わったあとは、いつもこんな風に「参加者の皆さんにとってお役に立つものを提供できたかな〜どうだったかな〜?」と考えてしまいますね。講演や研修はカウンセリングのケースと同じで、「これで完璧!」なんて思うことはないですね。常に「もっとうまくやるには?」と考え続けることが大事!日々研鑽です!がんばるぞ!!  

2015年1月 5日 (月)

今年は「目標」を立てません?!

 新年2015年ももう5日がたちました。遅ればせながら、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 今年の年末年始は、年末から引いていた風邪が悪化し、TVで箱根駅伝を見ている以外は、ほぼ寝正月でした。何とかたまっている原稿を書く時間をと思っていたのですが、鼻水は出るわ、頭が回らないわで、なかなか集中できませんでしたね(と弁解)。

 今日5日は、オフィスでのカウンセリングの仕事始め。3ケースだけですが、新年早々来られるケースですから、いつも以上に気が抜けません。そんな中でクライエントから無事に年末年始を過ごされた話を聴いてホッとしながらも、ホッとしすぎないよう気を引き締めて臨んでいます。

 毎年この時期には「今年の目標」を考えることが多いのですが、今年は「特に目標を立てない」という目標を立てました。(あ~ややこしいですね~!) 仕事も家庭もその他プライベートも、特に目標やその数値などは決めないで、今年は「自分が今必要だと思うこと」をその場その場で1つ1つ丁寧に振り返りながらやっていこうというわけです。自分としては「こうしなきゃ」「あれをやらねば」という気持ちがなくなり、いい意味で楽な気持ちで生活に臨めそうです。 もしかしたら、新年の目標を立てないのは物心ついてからは初めてかもしれませんね。 いざ目標を立てないで数日間過ごしてみると、1日1日の仕事への取り組み方が何となく丁寧になった感じで、少し効率的になったような気もします?!。

 考えてみると、私にはここ数年は年単位の長いスパンでの「大目標」があることに気づきました。(内容は内緒です!) それをこなすために1日1日をコツコツとやって行けば良いという状況なんですよね。だからこそ年単位の目標は必要ないのかもしれません。

 今週からはいつもの生活が始まりました。さあ~がんばるぞ~!!

2014年12月31日 (水)

年末の学び その2 

 大晦日ですね〜慌しい中、何とかブログを更新します。
 12月26日から28日までの3日間、ヒューマン・ギルドで「SMILEリーダー養成講座」を受けてきました。これはヒューマン・ギルドが開発したSMILEという「より良い親子(人間)関係を学ぶプログラム」を実施できるリーダーになるための研修です。年末のこの時期だからこそ時間が取れた3日間でしたが、私にとっては今年を締めくくるような大きな学びになった3日間でした。
 参加者は私を含めて11名で、大学講師や親業のインストラクター、NLPプラクティショナー、心理カウンセラー、専業主婦など、皆なかなかの精鋭メンバー。臨床心理士が参加する研修が多い私にとっては、違う視点からの指摘があって、とても新鮮かつ刺激になりました。
 SMILEは8章46節で構成されていますが、この研修はその節ごとに30分間のリーダー体験をしてもらい、参加者からフィードバックをもらうことがメインの作業。私も2回リーダー体験をしました。最初のリーダー体験では、自分でもよくわからない緊張(?)があって、いざ始めてみると、早口で話の展開が早くなるという自分の悪い癖が出てしまいました。他にも参加メンバーから、「ちょっと」というセリフが多かった、動きが少し落ち着きなかった、軌道修正するのが早い、など自分としては痛いところを指摘され、まだまだだな〜と反省させられましたね。同じように他のメンバーのリーダー体験に参加しながら、そのデモンストレーションを見せてもらいましたが、皆さん苦労されていましたが本当に自分の持ち味を出していい感じ。それぞれのうまいところを参考にさせてもらいました。
 3日目は参加者全員が20分間で2回目のリーダー体験をしました。1回目の体験の反省をちゃんと意識して、皆さんさらにうまく進行していましたね。私も2回目のリーダー役はまずまずやれたかな? 最低でも早口にならないように気をつけました〜(笑)。 研修の最後は皆それぞれメンバー同士で「勇気づけ」を行い、感動のうちに終了。 しっかりと自分の課題をいただきながら、それに精鋭メンバーと一緒に取り組むことができた、というとても濃密な良い研修を今年の最後に受けられて本当に良かったです! いや〜楽しかった〜!!
 さて、今年ももう今日で終わり。このブログを始めたことに象徴されるように、今までなんとなく曖昧になっていた自分の「学び」を、再びしっかりと始めた1年だったように思います。この「学び」続ける姿勢を10年、20年と継続していくことが、私のこれからの人生の大きな課題の1つだな〜とあらためて確認できましたね。 さあ、来年もいろいろなことに対して、しっかり「学び」そして「世に貢献」していこうと思います。がんばっていこうっと!!

2014年12月29日 (月)

年末の学び その1

 この年末は昨日まで研修中心の10日間でした。学びの復習も兼ねて1つずつ書いていきます。

 まずは12月21日(日)は、私のオフィスで「勇気づけ勉強会(ELM: Encouraging Leader's Manual)」を行いました。このELMはヒューマン・ギルドが開発された「30分で勇気づけの研修ができる!」というプログラム。私のオフィスでは今年の6月に引き続いての開催で、講師は臨床心理士の山口麻美さん。今回も前回の続きとして、第7章「行動には目的がある!」から第12章の「勇気づけに必要な態度と技術」までワークと講義で「勇気づけ」について、楽しく学べました。

  ELMのプログラムの良いところは、豊富でユニークな内容のワークをしながら体験的に学べるところかな。ELMの学びの流れ方もとても良くて、まずシートにある問題を自分で考えてから参加者でシェアし、それから講義を聞いて理論を学ぶ、という感じ。この一連の流れは、勉強するやり方として、とてもスムーズに体験的に理論などを理解できるので、とても良いですね! 自分が行う研修にもぜひ採用してみたいやり方だと思いました。講師の山口さんの穏やかなゆったりとした進行も心地よかったな〜(こちらは自称ADHDの中年オヤジの私にはとても真似できません!笑)  来年は私もこのELMのトレーナー養成講座にぜひ参加しようっと!

 翌日の22日(月)の夜は、「駒沢ブリーフサイコセラピー研究会」に講師として参加。研修のタイトルは「ブリーフセラピー体育の時間」 。今年の最後は体を動かして研修締め、というコンセプトです。といっても実際に運動をするのではなく、ペアになってブリーフセラピーの様々な技法による「会話練習」を行うというもの。この「会話練習」は私が行う研修のパターンの1つではありますが、この日は本来は4時間くらいかけてやるワークを90分に凝縮してやった感じですから、いつもよりだいぶテンポアップしてやったかな?  年末の忙しい時期に30名の方が参加して、本当に楽しそうに会話練習をやってくれました。 参加者の皆さん、お疲れ様でした!  
  研修後に一部の参加者と駒沢大学駅近くの居酒屋で懇親会を行いましたが、う〜ん、研修後の一杯はまた格別ですね! 懇親会に参加した一人の方と来年のオフィスでの研修会の企画も相談できたし、こちらもとても楽しい忘年会になりました。
 そして昨日まではヒューマンギルドでSMILEリーダー養成講座を3日間受講してきました。こちらの方はまたあらためて書きます。(年内には書きたいな〜笑)

2014年12月20日 (土)

ロールプレイ授業の最終回

 昨日は大学院の授業「臨床心理面接特論」の最終回。いつもは13時~15時の2時間なのですが、補講もかねて13時~17時の4時間行いました。(大学院生の皆さん、お疲れ!!) この授業はロールプレイをどんどん体験してもらうことが主な目的。昨日は大学院生と臨床助手の3人で家族(父、息子、娘)のロール(「娘の拒食症を直したい」が主訴)を作ってきてもらい、残りの大学院生がカウンセラー役で10~15分交代で一通りの面接を行いました。

 実際のロールプレイを行う前に、簡単に私がミニ講義を行い、以下のようなインテーク面接の要点を確認しました。
■インテーク面接での2つの作業
(1)ジョイニング:「情報&事情収集」「(クライエント家族との)関係作り」「関係性の見立て」
(2)リーディング:「(介入というより)提案」

 この講義を受けて、さっそく面接開始。いや~なかなかロールがしっかりと作りこまれていて、カウンセラー役の大学院生たちは苦戦していました。前半は上記の「情報収集」はまずまずスムーズに行っていましたが、3人家族との「関係作り」がなかなかうまくいかない感じ。その情報も「父親と娘があまりしゃべっていない」といった「見出しレベル」で、具体的なエピソードまで聞き切れていない状態が続きました。思わず予定はしていなかったのですが、私が10分ほどデモンストレーションして家族の関係作りをしながら「家族の食事場面の具体的なエピソード」を聞きだしてみました。自分がやってみると不思議と(ロールとは言え)家族のいろいろなエピソードが語られること語られること、やっている自分もこの家族のリソース(資源)が見えて楽しかったですね。

 私のデモの後、残り2名の院生がそれを引き継いで家族面接を続けました。それまで面接は正味80分近くやっていることになるので、後半のリーディング(「提案」)の作業を行っていましたが、これもまた難儀していました。カウンセラー役からいろいろな「提案」がなされるのですが、家族がその「提案」にあまり納得しない様子。振り返りでこの部分を担当した一人の院生が「カウンセラーの席に座ったら、目の前の家族が壁のように見えたので、ぶつかっていこうと思った」と話していたように、カウンセラーから「提案」を家族に(焦るように)ぶつけている(あるいは押し付けてしまっている)感じになってしまったようでした。やはりこちらも最後は私がデモを行って、院生が考えた「提案」を使いながら、ゆっくり家族に納得していただけるようにお話を進めてみました。まあ、まずまずうまくやれたかな? その後の振り返りの時間も通して、院生には以下のことを解説しました。

●リーディングでは、どんな「提案(あるいは介入)」をするかよりも、その「提案」をいかにクライエント家族に納得してもらうような「土俵」を作りながら話を進めていくかが大事。

●その作業(リーディング)を行うためにも、その前のジョイニングを丁寧に行うこと(例えば、具体的なエピソードを聴き出すこと)はとても重要。

 4時間と言う長丁場の授業でしたが、参加した大学院生は良い学びをしてくれたかな~と手前味噌ながら(?)思いました。ここに書いているのも大学院生や自分の復習のためかな?(笑)

 この授業のあと、八巻ゼミの大学院生たちと忘年会をしました。今年は特に学部生の面倒を見てくれた院生たちをねぎらいつつ、楽しい時間をすごしました。でも、ちと飲みすぎたかな?(笑)

2014年12月16日 (火)

「アドラー心理学を活かしたブリーフセラピー入門」を担当!

 12月13日(土)と14日(日)の2日間にわたって、東京におけるアドラー心理学研修の総本山(?)のヒューマンギルドで「アドラー心理学を活かしたブリーフセラピー入門」というワークショップを担当してきました。参加者は、学校の先生(校長先生もいました!)から料理研究家やサラリーマンや専業主婦まで、さまざまな立場の方が14名。さらになんとヒューマンギルド代表の岩井俊憲先生までいらっしゃいました。(アドラー心理学の第一人者といわれていても、なお研鑽を積まれようとしている姿に頭が下がります。それとも怪しげな研修をしないかチェックしていた?!笑)
 ワークショップの内容としては、1日目は「ブリーフセラピーの考え方」として円環的思考やシステム論の考え方などを、2日目は「ブリーフセラピーの振舞い方」としてジョイニングやコンプリメントの技法を中心に、講義とワークを織り交ぜながらやっていきました。今回の研修のミソはそれだけに留まらないで、それらの理論や技法がどのようにアドラー心理学と関連しているかもお話したところでしょうか? ワークショップらしく質問が活発に出てきたことや、時々岩井先生も解説してくださったこともあって、アドラー心理学とブリーフセラピーの関連性がより明確になったように思いました。 それは次の4点が挙げられると思います。
①アドラー心理学の基本前提の「目的論」や「対人関係論(社会統合論)」は、システム論の考え方とほぼ同じである。
②「勇気づけ」や「ジョイニング」を行っていくことはやる側のスタンスは同じ。「勇気づけ」は考え方とコメントに、「ジョイニング」は振舞い方に、それぞれ焦点が当たっている。
③ブリーフセラピー(特にソリューションフォーカストアプローチ)で言われている「コンプリメント」について、「直接的コンプリメント」は「コメント型の勇気づけ」と言えるし、「間接的コンプリメント」は「質問型の勇気づけ」と言える。
④ブリーフセラピーは「臨床思想」が弱いが、それを補う1つがアドラー心理学の「共同体感覚」である。
 これらの考えはまだまだ試論の域ではありますが、ワークショップ中の私の講義と参加者の質疑応答、そして参加者同士の議論やグループワークとロールプレイなどを通して、この方向で私自身が考え続け・実践していっても良いんだなと思えました。私自身もとても学びになった2日間でした。
 実は、ヒューマンギルドは30年近く前に私もアドラー心理学を始めて学んだ場です。そこで私がまた新しい学びと教えを提供し合えるという新鮮な喜びを感じましたね~。

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