2015年1月31日 (土)

ゼミ合宿と怒涛の研修週間 その2

   今はゼミ合宿からの帰り、やはり伊豆急行の中からこのブログ書いてます。電車の中は格好の書斎ですね(笑)。

   今回のゼミ合宿は、4年生の卒業論文の発表会も兼ねたものでした。皆緊張しながらもしっかりと発表していて、かつ内容もどれも力作ばかり。今年の4年生は例年以上に意欲的な学生ばかりでしたね。八巻ゼミのOB・OGも5名が参加してくれて楽しく充実した合宿でした。さすがに毎晩夜遅くまでの飲み会には付き合いきれなかったけど。私は温泉につかって(合宿所の近くに日帰り温泉館がある!)少しゆっくりできたかな?
   さて、怒涛の研修週間の続きを。
   1月24日(土)は友人がやっている心理センターで家族療法&ブリーフセラピーの研修を担当しました。参加者は10名足らず。センターのスタッフも参加していましたが、ほとんどの方が家族療法やブリーフセラピーにほぼ初めて触れる方が多く、急遽準備していたプログラムを変更して行いました。もともと何となく「なしなし研修でいこう」と考えてのぞんだので、変更はスムーズにできました。ただまだまだ「なしなし研修」を参加者のニーズに合わせて構成できているかと思うと、満足できるものではありませんでした。もう少し参加者のニーズを把握する方法、例えば「〜ということについて皆さんどう考えますか?」と参加者にふっていくなど、参加者をうまく巻き込みながら研修を展開する方法を、もっとたくさん考えていく必要がありそうですね。研修後は懇親会を催してくださいましたが、翌日の研修の準備のために早めにお暇させていただきました。
   さて、翌25日(日)は、やまき心理臨床オフィス主催で、吉祥寺にあるKidsという研修機関を会場にして東京大学の森俊夫先生のワークショップを行いました。私は司会進行役を担当。今回は特別なワークショップでした。それは森先生ご自身はご病気で単調万全でないにもかかわらず、研修講師を引き受けてくださったからです。森先生の体調を考えて、森先生のオフィスでもあるKidsを会場に急遽変更しました。森先生を慕ってブリーフサイコセラピー学会のベテランの先生方も急な連絡にもかかわらず、7人も駆けつけてくださいました。本当にありがたかったです。主役の森先生は、体調が万全でないにもかかわらず、午前中から会場に来ていただいて、午後は最後には2時間以上もひとりで講義してくださいました。その話は森臨床の真髄とも言える話で、ここで要約して書く力量は残念ながら私にはありません。ただ会場には出版社の方も来ておられたので、おそらく森先生のお話はあとで本になることでしょう。それはとても楽しみです。森先生は研修後の懇親会までお付き合いいただいて、とても満足・幸せそうな感じでした。私も森先生の大切なお話をできるだけじゃませずにしっかりと語っていただくことができたかと思えて、まずまず無難に司会できたことで、正直終わった後はホッとしました。
   いや〜こうやって振り返ってみると、長いようであっという間のやはり怒涛の1週間でした。1つ1つの体験・経験をあらためてかみしめていきたいですね。
 

2014年12月16日 (火)

「アドラー心理学を活かしたブリーフセラピー入門」を担当!

 12月13日(土)と14日(日)の2日間にわたって、東京におけるアドラー心理学研修の総本山(?)のヒューマンギルドで「アドラー心理学を活かしたブリーフセラピー入門」というワークショップを担当してきました。参加者は、学校の先生(校長先生もいました!)から料理研究家やサラリーマンや専業主婦まで、さまざまな立場の方が14名。さらになんとヒューマンギルド代表の岩井俊憲先生までいらっしゃいました。(アドラー心理学の第一人者といわれていても、なお研鑽を積まれようとしている姿に頭が下がります。それとも怪しげな研修をしないかチェックしていた?!笑)
 ワークショップの内容としては、1日目は「ブリーフセラピーの考え方」として円環的思考やシステム論の考え方などを、2日目は「ブリーフセラピーの振舞い方」としてジョイニングやコンプリメントの技法を中心に、講義とワークを織り交ぜながらやっていきました。今回の研修のミソはそれだけに留まらないで、それらの理論や技法がどのようにアドラー心理学と関連しているかもお話したところでしょうか? ワークショップらしく質問が活発に出てきたことや、時々岩井先生も解説してくださったこともあって、アドラー心理学とブリーフセラピーの関連性がより明確になったように思いました。 それは次の4点が挙げられると思います。
①アドラー心理学の基本前提の「目的論」や「対人関係論(社会統合論)」は、システム論の考え方とほぼ同じである。
②「勇気づけ」や「ジョイニング」を行っていくことはやる側のスタンスは同じ。「勇気づけ」は考え方とコメントに、「ジョイニング」は振舞い方に、それぞれ焦点が当たっている。
③ブリーフセラピー(特にソリューションフォーカストアプローチ)で言われている「コンプリメント」について、「直接的コンプリメント」は「コメント型の勇気づけ」と言えるし、「間接的コンプリメント」は「質問型の勇気づけ」と言える。
④ブリーフセラピーは「臨床思想」が弱いが、それを補う1つがアドラー心理学の「共同体感覚」である。
 これらの考えはまだまだ試論の域ではありますが、ワークショップ中の私の講義と参加者の質疑応答、そして参加者同士の議論やグループワークとロールプレイなどを通して、この方向で私自身が考え続け・実践していっても良いんだなと思えました。私自身もとても学びになった2日間でした。
 実は、ヒューマンギルドは30年近く前に私もアドラー心理学を始めて学んだ場です。そこで私がまた新しい学びと教えを提供し合えるという新鮮な喜びを感じましたね~。

2014年11月24日 (月)

ロールプレイ授業での学び

  先週の金曜日(21日)は大学院1年の授業「臨床心理面接特論」を担当する日。この授業は後期はずっと複数面接のロールプレイをやっています。担当の大学院生2名に前もって何らかの問題を抱えている家族ロールを作ってきてもらって、それを他の大学院生がカウンセラー役になって面接をするという形式。1人約10分程度面接をしてから、それを見ていた他の大学院生と今後の面接の展開(次は何をやっていくか?)について5分ほど協議。そして次のカウンセラー役にバトンタッチして10分間面接をしてから、また協議、と繰り返していきます。

  この授業で面白いことの1つは、院生たちが5分間協議をしている間、2名の家族役の院生と私が教室の外に出て打ち合わせをするところ。なかなか役になりきれていない院生にノンバーバルの部分でこう演じると元々考えていた家族の雰囲気が出るとか、お互いが相手に対してこのように考えていると自然に表情はこう出てくるはず、などなど、ロール上の振る舞い方について、私がアドバイスしたりしています。なんか気分は演出家ですね〜。そのアドバイスで、院生がロールではあるけれども次第に家族の雰囲気がでてくる場合が多くて、それに対するカウンセラー役も「どんな家族(システム)なんだろう?」と一生懸命考えながら面接している。ロールプレイといいながらも、結構リアルな良い面接練習になっていると思います。あらためて役者が演じる時の演出家の存在は重要なんだと思いましたね。

  先日の授業での再発見は、「カウンセラーの質問はクライエントに相当影響力がある」ということ。カウンセラーからの問いかけによって、家族役の2人が中盤に「本当は自分は何を求めてカウンセリングを受けにきたのか混乱してしまった。」と言ったのが印象的でした。カウンセラーの質問にはカウンセラー自身の「関心」が反映されます。クライエントが語るどの部分にカウンセラーが関心を示しているのかが質問に込められていると言っても良いでしょう。当然、その影響をクライエントが受ける。ちなみにこのカウンセラーの関心がクライエントの「問題」に焦点が当たっていると、「問題を巡る会話」になるし、カウンセラーの関心がクライエントの「問題解決の力(=リソース)」に焦点が当たっていると「解決に向かう話」になる。これはブリーフセラピーや社会構成主義ではよく言われることです。カウンセラーの質問1つで会話が(あるいは現実や心理が)変わってしまうんですね。

  今回のロールプレイでも前半の何人かは「この家族はどんな家族?」という仮説を立てることに一生懸命になってしまって、つい問題探し(=問題を巡る会話)になってしまっていました。前半の面接は重苦しい雰囲気になっていましたね。そこで「仮説検証(=問題探し)だけでなく、家族のとの関係作りも意識して」とアドバイスしたところ、後半の面接は見事に笑いも起きる良い意味で軽い雰囲気になっていました。いや〜カウンセラーのちょっとした意識で面接は変わるんですね。その意識をどこに向けるかで、クライエントや家族にとって全く違う世界が展開するんだと、あらためて思いました。その目指す世界は、私にとっては、当然クライエントや家族がよりハッピーになっていく世界なんだと、再認識しましたね。

2014年11月20日 (木)

ブリーフセラピーはアドラー心理学の進化系?!

昨日の大学での授業は、ブリーフセラピーのソリューション•フォーカスト•アプローチ(SFA)で有名なインスー•キム•バーグの面接DVD「子どもは私の生きがい」を鑑賞しました。インスーがDVから逃れた2人の子どもを待つ19歳の母親と面接したものを、解説をはさみながら記録したDVDです。もう何度も観ているのですが、今回あらためて見ると、また発見があるものですね。
クライアントに対して「ここでどんなことができれば、あなたのお役に立ちますか?」と繰り返し尋ねながら、クライアントがこれまでやってこれたこと(DV男から逃げられたことなど)に驚き、感嘆し、労う。そして様々なユニークな質問を駆使しながら、クライアントの持っているリソース(能力やまわりの資源)を語ってもらう。それらを繰り返していくうちに、最初は暗い落ち込んだ表情だったクライアントが、終盤は生き生きとした自信に満ちた表情に変わっていく。熱心に見ていた学生たちもクライアントの表情の変化には気づいたようです。これらの作業を自然に暖かい雰囲気の中で行うインスーの名人芸にあらためて感動しました。
ただ鑑賞した学生の中には「良い雰囲気だったけど、何が良かったのかわからなかった」と感想を述べる者もいて、次回は少し詳しく噛み砕いて解説する必要がありそうですね。考えてみると、受講している学生はみんな臨床心理士になるわけではないので、名人芸をただ見せるだけではピンとこないのは当たり前ですよね。
人と会話する時にスムーズに、かつざっくばらんにできるコツが、インスーはじめブリーフセラピストとの会話にはあると思うので、その辺を話せれば良いかな〜?
授業でも言ったのですが「ブリーフセラピーはアドラー心理学の技法の進化系」であると思います。SFAで言われている「コンプリメント」は「勇気づけ」の一つのやり方だと思うし、ミラクルクエスチョンは「行動の結末」を丁寧に行った一連の手続きである、などと言ったら言い過ぎかな? でも間違いなくブリーフセラピーの様々な技法は、アドラー心理学の理論をさらに洗練させたやり方になっていると思いますね。
来週の授業は、またブリーフセラピーを取り上げるので、こんなふうにアドラー心理学とSFAを対比させながら解説してみようかな?